長和町の南端、霧ヶ峰高原北麓の和田峠・男女倉(おめぐら)・星糞峠の一帯は、本州最大規模の黒耀石原産地として知られ、3万年余も前の旧石器時代から全国各地の人々がこの地に集い、貴重な資源として黒耀石を広域に流通させるために営まれた工場のような大規模遺跡が黒耀石原産地遺跡群として今日に残されています。黒耀石の利用は、縄文時代へと続き、星糞峠では、「世界最古の鉱山」ともいえる黒耀石の採掘址群も残されていて、国史跡に指定され、旧石器から縄文時代へと時代を超えた歴史遺産を抱える地域です。
古代以降、分水嶺をなす大門峠・和田峠を越える道筋は、初期信濃国府への「準官道」として、また、諏訪大社や善光寺への「信仰の道」として、さらに甲斐・武田氏らの「戦の道」として多くの人々と物資が行き交いました。
近世初頭に中山道が整備されると、その随一の難所である和田宿と、各主要道への分岐点にあたる長久保宿はしだいに発展し、江戸時代中期以降、信濃26宿のなかでも大規模な宿場町として賑わいをみせました。
長和の里歴史館では、町内の遺跡から出土した黒耀石製石器や土器などの考古資料から、江戸時代の古文書、町民から寄贈された民具などの様々な歴史的資料を体系的に収蔵保管して、展示公開するとともに、学校教育や生涯学習講座の教材としても提供を行い、広く利活用も図っています(入館無料)。